【2026年最新版】大型車の搬送に必要な許可と手続き完全ガイド
「遠方で自走できなくなった大型トラックを業者に搬送してもらいたいが、どの許可が必要なのかわからない」
「許可の要否を勘違いしたまま運ばせて、あとから自社が法令違反を問われないか不安だ」
自社の大型車を運ぶにあたって、許可の段取りや申請の責任区分が分からず、手配が止まってしまっている運行管理者の方もいるのではないでしょうか。
大型車の搬送で必要になる許可は、積載・けん引で運ぶのか自走させるのかという「運び方」と、車検や登録の有無といった「車両の状態」によって決まり、申請者もそれに応じて異なります。
本記事では、大型車の搬送に関わる許可制度や特殊車両通行許可の取得手順、無許可運行による罰則などを解説します。
自社のケースでどの許可が必要かを正しく見極め、法令を遵守しつつ搬送をスムーズに進めたい方は、ぜひ参考にしてください。
車種と発着地をお伝えいただければ、運び方と必要な許可の見当をお返しします
大型車の搬送に必要な許可は運び方と車両の状態で決まる
大型車の搬送で必要になる許可は一つではありません。
先述のとおり、車両の運び方(積載・けん引か、自走か)および登録状態によって決まります。
以下のように、根拠となる法律が分かれているためです。
- 道路法:道路の構造を守る
- 道路交通法:交通の安全を守る
- 道路運送車両法:車両の登録や検査を定める
根拠法が異なるため、申請先もそれぞれ異なります。
運び方や車両の状態ごとに必要となりうる許可や申請先、申請者は以下のとおりです。
| 運び方・車両の状態 | 必要になりうる許可 | 申請先 | 申請者 |
|---|---|---|---|
| 積載車やレッカーで運んでもらう | ・特殊車両通行許可 ・制限外積載許可 ・通行禁止道路通行許可 |
・道路管理者 ・警察署長 |
運ぶ側(搬送業者) |
| 車検と登録が有効な車両を自走させる | ・特殊車両通行許可(基準を超える場合) ・通行禁止道路通行許可 |
・道路管理者 ・警察署長 |
依頼した側(自社) |
| 車検切れ・未登録の車両を自走させる | ・臨時運行許可(仮ナンバー) ・特殊車両通行許可(基準を超える場合) |
・市区町村 ・地方運輸局長 ・道路管理者 |
依頼した側(自社) |
また、積載車やレッカーを使って他人の車両を有償で運んでもらう場合には、運ぶ業者側に事業としての許可が求められます。
ここで注意したいのは、道路法の許可と道路交通法の許可は別の制度である点です。
一方の手続きを済ませていても、もう一方の許可が不要になるわけではありません。
申請を行う主体は、積載やけん引で運んでもらう際は「運ぶ側」、自走させる際は「依頼した側」となります。
手続きを進めるにあたっては、まず自社の大型車をどの方法で運ぶのかを決めましょう。
なお、けん引や積載、リレー搬送、フェリー輸送など、状況に適した搬送方法の選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
大型車を積載車やレッカーで運んでもらう際に必要な許可
大型車を積載車やレッカーで運んでもらう場合、積んだ状態の寸法・重量や通る経路に応じて必要な許可が異なります。
ここでは、具体的な3つの許可について解説します。
積載した状態の寸法・重量が制限を超える場合に必要な「特殊車両通行許可」
搬送車に積んだ状態の寸法や重量が「一般的制限値」を超えるときは、道路管理者の特殊車両通行許可(特車申請)を取得しなければなりません。
道路法に基づくこの制限値は、橋や舗装といった道路の構造を守り、交通の危険を防ぐ目的で定められているためです。
車両制限令で定められている一般的制限値は、以下のとおりです。
- 幅:2.5m
- 高さ:3.8m(指定道路では4.1m)
- 長さ:12m
- 総重量:20t(重さ指定道路では最大25tまで)
- 軸重:10t
制限値を超えているかどうかの判定は「運ばれる大型車単体」ではなく「搬送車と積載した大型車を合わせた状態」で行われます。
単体では制限値に収まる大型トラックであっても、積載車の上に載せることで全体の高さが3.8mを超えたり、総重量が20tを超えたりすれば許可が必要です。
特殊車両通行許可の対象となる車両は、大きく以下の2種類です。
- 車両の構造が特殊なもの:トレーラ連結車の特例8車種など
- 積載する貨物が特殊なもの:分割できないために制限値を超える大型車両や建設機械など
大型車を積載して運ぶケースは、後者の「分割できない特殊な貨物を積載する車両」として扱われます。
なお、新規格車(増トン車など)は高速自動車国道や重さ指定道路を自由に通行できます。
しかし、その他の道路を通行する際は、通行可能経路の確認による回答または通行許可を受けなければなりません。
自社だけで判断がつかない場合は、車検証に記載されている寸法や重量の数値を搬送業者へ共有し、合算で制限値を超えるかどうかを確認してもらいましょう。
許可が必要かどうかの判定手順や、申請が運行日に間に合わないときの対処法については、こちらの記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
積載物の大きさが制限を超える際に必要な「制限外積載許可」
積載車の荷台に大型車を載せた状態で、積載物の大きさが道路交通法の規定を超える場合は、出発地を管轄する警察署長から「制限外積載許可」を受ける必要があります。
前述の道路法(道路管理者が管轄)とは異なり、道路交通法では交通の安全と危険防止を目的として、車両に積載できる物の寸法上限が別に定められているためです。
なお、2022年5月13日の道路交通法施行令改正によって、警察の許可を受けずに積載できる範囲が以下のように見直されました。
- 長さ:自動車の長さの1.2倍まで(前後の車体からのはみ出しは、前後それぞれ長さの10分の1まで)
- 幅:自動車の幅の1.2倍まで(左右の車体からのはみ出しは、左右それぞれ幅の10分の1まで)
- 高さ:3.8mから積載する荷台の高さを引いた値まで(公安委員会が指定した車両は最大4.1mから荷台の高さを引いた値まで)
この基準の範囲内であれば制限外積載許可は不要ですが、基準を超えるはみ出しや高さになる場合は許可申請が必要です。
気をつけるべきなのは、「制限外積載許可が不要=道路法の許可も不要」とはならない点です。
積載物の寸法が道路交通法の範囲に収まっていても、搬送車と合算した寸法や総重量が道路法の一般的制限値を超えていれば、特殊車両通行許可を受けなければなりません。
どちらか一方の手続きだけで走行できると誤認しないよう、両方の基準に照らし合わせて確認する必要があります。
通行止めの道路を走行するために必要な「通行禁止道路通行許可」
搬送の経路に大型車の通行が禁止されている区間が含まれるときは、管轄する警察署長から「通行禁止道路通行許可」を受けなければなりません。
道路標識によって指定される通行禁止は、道路法で定められた構造上の寸法制限とは異なり、交通の安全や環境保全を目的として個別に規制されているためです。
通行禁止道路通行許可は、貨物の集配や車両の搬出入など、政令で定めるやむを得ない理由があると警察署長が認めた場合に交付されます。
許可を受けた車両であっても、通行中は警察署長から交付された許可証を必ず携帯していなければなりません。
積載車やレッカーで運んでもらう場合、実際に車両を通行させるのは搬送業者側であるため、この申請手続きも搬送業者側が進めることになります。
ただし、自社の車庫や故障現場の周辺など、発着地の直前区間に大型車の通行規制が掛かっているかどうかは、依頼する側も事前に確認し、搬送業者へ伝えておく必要があります。
搬送をスムーズに進めるためにも、経路に大型車の通行禁止区間が含まれているかを、運ぶ側と一緒に確かめておきましょう。
積載搬送なら、これらの許可申請は運ぶ側で対応します
車検切れ・未登録の大型車を自走させる際に必要な許可
車検が切れている車両や未登録の大型車を公道で自走させるには、臨時運行許可(いわゆる仮ナンバー)を取得する必要があります。
道路運送車両法により、公道を走行するには有効な自動車検査証の交付を受け、登録を済ませていることが前提となっているためです。
臨時運行許可の申請先は、市区町村や地方運輸局などの窓口です。
臨時運行許可が認められるのは新規検査や継続検査を受けるための回送など、法律で定められた特定の目的に限られます。
単に車両を移動させたいという理由だけでは、許可の対象とならない場合がある点に注意が必要です。
また、自走させる大型車の寸法や重量が一般的制限値を超える場合は、臨時運行許可に加えて道路管理者への特殊車両通行許可も取得しなければなりません。
一方、大型車を積載車やレッカーに載せて運ぶ場合は、車両自体の装置を用いて走らせるわけではないため「運行」に該当せず、臨時運行許可は不要となります。
なお、自走の状態で搬送してもらう方法もありますが、地方運輸局長から「回送運行許可」を受けた業者に依頼する場合に限られます。
自社で手続きを行って仮ナンバーを取得し自走させるのか、それとも許可不要の積載搬送を選ぶのかを決めたうえで、搬送業者へ相談してください。
仮ナンバーが必要なケースと不要なケースは、こちらの記事で解説しています。
また、車検切れ・未登録の大型車を搬送するときの流れは、以下の記事にまとめているので、こちらもご覧ください。
大型車の搬送を請け負う業者側に必要な事業の許可
他人の車両を有償で搬送してもらう際は、依頼先の業者が運送事業としての適切な許可を得ているか確認してください。
許可を持たない無許可業者へ運送を委託してしまうと、依頼した自社側も罰金刑を受ける規定になっているためです。
貨物自動車運送事業法では、無許可で営業を行った業者に対して3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が定められています。
これに加えて、そうした無許可業者へ運送を依頼した荷主・委託側に対しても、100万円以下の罰金が科せられます。
法律上、無許可営業そのものだけでなく「無許可業者への委託行為」自体が明確に禁止されている点を見落としてはなりません。
大型車の搬送業者が備えるべき許可は、使用する車両区分に応じて大きく以下の2つに分かれます。
- 一般貨物自動車運送事業の許可:緑ナンバーの積載車やけん引車を用いて事業として運送を行う場合の許可
- 有償運送許可:自家用車両(白ナンバーなど)を用い、公共の福祉の観点から例外的に有償運送を行う場合の許可
どちらの許可が必要になるかは、搬送業者が運用する車両の種別によって異なります。
問い合わせた窓口企業が別のレッカー業者へ再委託するケースには、特に注意が必要です。
実際に現場へ向かい自社の大型車を運ぶ業者が誰なのか、必要な許可を保持しているのかを、依頼者側から把握しづらい傾向があるためです。
あとから自社が法令違反を問われないためにも、どの事業者が搬送を担当するのか、必要な事業許可を備えているかを事前に確認しておきましょう。
業者を選ぶときの判断基準や、見積もりのために伝えるべき情報は以下の記事に詳しくまとめているので、こちらもあわせてご覧ください。
大型車の搬送にあたって特殊車両通行許可を取得する4つの手順
大型車を積載車などで運んでもらう場合、ここで解説する特殊車両通行許可の申請手続きを進めるのは搬送業者側です。
道路交通法に基づく各種許可も搬送業者が警察署へ申請しますが、なかでも特殊車両通行許可は審査完了までに一定の期間を要し、搬送のスケジュールに影響します。
手配の遅れを防ぐためにも、依頼する側も手続きの全体像を把握しておきましょう。
手順1.通行する経路を選ぶ
特殊車両通行許可を申請するにあたっては、まず搬送車が通行するルートを決定します。
審査は経路に含まれる道路ごとに行われ、通過する道路の管理者によって申請窓口や手数料の有無が変わるためです。
申請窓口の区分は、通過する道路の管理者数に応じて以下のように決まります。
- 一つの道路管理者の路線のみを通行する場合:その道路管理者の窓口へ申請(手数料は無料)
- 複数の道路管理者にまたがって通行する場合:関係するいずれかの道路管理者の窓口へ申請(手数料あり。政令指定都市以外の市町村窓口には申請不可)
出発地から目的地までの経路が複数の管理者にまたがる場合は、いずれか一つの窓口へまとめて申請することになります。
手順2.車両の諸元と必要書類をそろえて申請先へ提出する
経路が決まったら、車両の諸元情報や各種書類を取りまとめて申請先へ提出します。
窓口へ書面で申請する際の主な提出書類は、以下のとおりです。
- 特殊車両通行許可申請書
- 車両の諸元に関する説明書
- 通行経路表および通行経路図
- 自動車検査証(車検証)の写し
- 車両内訳書(包括申請の場合のみ)
なお、インターネット経由で行うオンライン申請を利用すれば、自動車検査証の写しを添付する必要はありません。
また、申請する車両の台数や内容によって手続きの区分が分かれます。
申請台数が1台の場合は「普通申請」、2台以上であれば「包括申請」となります。
ただし、包括申請が認められるのは車種・通行経路・積載する貨物・通行期間がすべて同一である場合のみです。
一度許可を取得したあとに期間を延長したい場合は「更新申請」、経路や車両情報を変更したい場合は「変更申請」として扱われます。
複数の道路管理者にまたがる経路で手数料が発生する場合、その金額は「申請車両台数 × 申請経路数 × 200円」で算出されます。
国の機関の窓口では1経路あたり200円ですが、都道府県や政令指定都市の窓口では自治体の条例によって金額に多少の差があります。
手順3.道路管理者の審査を受ける
書類の提出を受けた道路管理者は、特殊車両通行許可基準に照らし合わせ、道路情報便覧を使って通行の可否を審査します。
審査にかかる標準処理期間は、新規申請および変更申請の場合は3週間以内、更新申請の場合は2週間以内と定められています。
ただし、この期間内で処理されるのは、以下の3条件をすべて満たしている場合のみです。
- 申請した経路が道路情報便覧に収録されている路線のみで完結している
- 申請車両が超寸法車両や超重量車両に該当しない
- 申請後に経路や車両の諸元といった内容の変更を行っていない
もし経路上に未収録の道路が含まれていたり、申請内容に修正が生じたりした場合は、さらに日数を要するケースもあります。
搬送の期日が決まっている場合は、これらの審査期間を逆算した上で早めに手配を進める必要があります。
許可が必要かどうかの判断手順や、申請が運行日までに間に合わないときの対処法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
手順4.許可証の交付を受けて内容を確認する
道路管理者の審査を通過したら、付帯する通行条件とともに「特殊車両通行許可証」が交付されます。
オンライン申請を利用した場合は、システム上から電子許可証のデータを直接受け取ることが可能です。
許可証を受け取ったら、記載されている有効期間(通行許可期間)を確認しましょう。
なお、許可が下りる期間は、車両の寸法・重量や事業者の区分に応じて以下のように上限が定められています。
- 寸法や重量が一定の基準を超える車両:優良事業者は2年以内、それ以外の事業者は1年以内
- 上記以外の一般的な車両:優良事業者は4年以内、それ以外の事業者は2年以内
自社や搬送業者が優良事業者の要件を満たしているかによっても有効期間は変わるため、実際に交付された許可証の記載内容を直接確認する必要があります。
また、許可証とあわせて提示される「通行条件」の内容を把握しておくことも重要です。
許可を受けたあとにも守るべきルールが細かく定められており、これらを遵守しなければ違反となってしまいます。
詳しくは、次の章で解説します。
大型車の搬送に必要な許可を取得したあとの遵守事項4つ
許可を受けただけでは、まだ安心できません。
公道を通行させるにあたっては、法律で定められたルールを厳格に守る必要があり、これらを怠ると行政処分や罰則の対象となるためです。
ここでは、通行時に遵守すべき事項を「携帯するもの」「許可された範囲」「許可に付された条件」「通行にあたってとる行動」の4つに整理して解説します。
遵守事項1.車両に備え付ける許可証と条件書
許可を受けて公道を通行する際は、交付された許可証を必ず搬送車両に備え付けておかなければなりません。
道路法第47条の2第6項において許可証の備え付けが義務づけられており、不携帯のまま通行させた場合は罰則の対象となるためです。
オンライン申請によって電子許可証を取得した場合は、以下の書類を印刷して車内に携行します。
- 許可証
- 条件書
- 通行経路表
- 通行経路図
- 車両内訳書(包括申請の場合のみ)
なお、書面を印刷して持ち歩く代わりに、タブレットやノートパソコンなどの電子機器にデータを保存して携行することも認められています。
ただし、機器の故障やバッテリー切れ、電波状況の悪化などが原因で取締り時に速やかに画面提示できない場合は、許可を得ていても「許可証不携帯」とみなされ、警告書の発出などの対象となります。
端末の充電状況を確認しておくか、確実に提示できるよう紙に印刷して携行しておくのが安心です。
遵守事項2.許可された通行時間・期間・経路
特殊車両の運行にあたっては、許可された時間帯・期間・経路の範囲を厳密に守って通行する必要があります。
指定された条件から外れて走行した場合、条件違反として道路管理者から警告書や措置命令書の対象となるためです。
許可条件によっては、通行時間帯が夜間(21時から翌朝6時まで)に制限される場合があります。
この夜間通行条件はすべてのルートに適用されるわけではなく、交通への影響が大きい必要最低限の区間に限定して指定されます。
そのため、走行経路のうち具体的にどの区間が夜間指定されているかは、許可証に添付される「C・D条件箇所一覧」で事前に確認しておかなければなりません。
この一覧表も許可証や条件書と同様に、特殊車両の走行時に必ず車内へ携行する書類として定められています。
指定区間の時間制限を守り、通行ルートを逸脱しないよう、運行計画をドライバーと事前に共有しておいてください。
遵守事項3.橋やトンネルで求められる徐行と誘導車の配置
橋やトンネルなどを通過する際に、徐行や誘導車の配置が義務づけられている場合は、指定された措置をとって運行する必要があります。
重量や寸法の大きな特殊車両がそのまま通行すると、橋梁や路面などの道路構造を損傷させたり、対向車や後続車に危険を及ぼしたりするおそれがあるためです。
どのような措置が求められるかは、許可証に付帯する「通行条件A〜D」の区分によって以下のように分かれます。
- A条件:特別な条件は付かない
- B条件:指定区間での徐行
- C条件:徐行に加え、誘導車1台を配置(寸法の超過時は前方、重量の超過時は後方に配置)
- D条件:徐行と誘導車2台(前・後)の配置などに加え、隣接車線の安全確認
誘導車には普通乗用車などが用いられ、「特殊車両誘導中」といった表示を掲げて周辺道路の障害物の確認や、ドライバーへの連絡と助言を行います。
なお、C条件やD条件が付いた場合、誘導車をどちらが手配するのか(依頼側か搬送業者側か)については、見積もりや運行計画の段階で業者と事前に取り決めておきましょう。
当日に誘導車の配置ができないと、条件違反となって運行を中止せざるを得なくなるため注意が必要です。
遵守事項4.出発前の道路状況の確認と事故時の通報
特殊車両を運行させる際は、出発前に最新の道路状況を確認するとともに、事故発生時の通報手順を確立しておくことが求められます。
事前に許可を得たルートであっても、当日の事故や道路工事、気象状況などによって通行規制が敷かれている場合があるためです。
出発前の道路情報については、日本道路交通情報センター(JARTIC)などで確認します。
また、運行中に万が一交通事故を起こしてしまった場合は、直ちに負傷者の救護を行い、警察へ通報しなければなりません。
それに加えて、ガードレールや路面、橋梁といった道路構造物を損傷させた際は、警察だけでなく管轄の道路管理者への速やかな通報も義務づけられています。
安全に搬送するためにも、出発前の確認先や緊急時の通報ルートを、運行前に社内およびドライバー間で必ず共有しておきましょう。
大型車の搬送に必要な許可を取得せずに運んだ場合の罰則と行政処分
必要な許可を取得しないまま大型車を運んだ場合、どの法律に違反したかによって科せられる罰則の内容が異なります。
罰則の対象となるのは、原則として車両を実際に運行・通行させた側です。
また、違反行為を繰り返した場合は、罰金などの刑事罰とは別に行政上の処分も段階的に科せられます。
無許可の業者へ委託した結果、依頼した側も罰金を受けた事例については、こちらの記事で詳しく紹介しているので、気になる方はご覧ください。
道路法違反による罰則
道路法における罰則は、違反した場所や行為の内容によって以下のように規定されています。
- 許可を受けずに制限を超える車両を通行させた場合:100万円以下の罰金
- 許可を受けていても、付された許可条件に違反して通行させた場合:100万円以下の罰金
- 交付された許可証や回答書を車両に備え付けていなかった場合:100万円以下の罰金
- 道路標識で通行が制限されている橋やトンネルなどにおいて、無許可または条件に違反して通行させた場合:6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
なお、刑罰としての拘禁刑は2025年6月から適用されています。
特に注意すべきなのは、これらの罰則が直接運転していたドライバーだけに留まらない点です。
道路法では両罰規定が定められており、違反行為を行った運転者だけでなく、運行を命じた事業主体である法人や事業主に対しても同様に罰金刑が科せられます。
道路交通法違反による罰則
警察署長の制限外積載許可や通行禁止道路通行許可を受けずに走行した場合、運転者は道路交通法違反として拘禁刑または罰金の対象となります。
道路交通法における罰則は、違反した内容に応じて以下のように定められています。
- 積載物の重量制限を超過して通行した場合:6か月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金
- 積載物の寸法(長さ・幅・高さ)や積載方法の制限を超過した場合:3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金
- 大型車の通行が禁止されている道路を無許可で通行した場合:3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金
このように、積載物の重量を超過させた場合は、ほかの違反よりも重い刑罰が規定されています。
ただし、積載車を用いて大型車を運ぶケースでは、重量そのものよりも荷台からの「長さや幅のはみ出し」あるいは「高さ」が制限を超えて問題になるケースが一般的です。
そのため、実務上は寸法超過にあたる「3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金」が適用される可能性が高くなります。
道路運送車両法違反による罰則
臨時運行許可を受けないまま、車検切れや未登録の大型車を公道で自走させた場合は、道路運送車両法違反として「6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」が科せられます。
自社敷地内から公道へわずかな距離を移動させるだけであっても、仮ナンバーなしで自走させれば処罰の対象となります。
一方で、大型車を積載車やレッカー車の荷台に載せて運ぶ場合は、車両自体の装置を用いて走らせる「運行」の対象外です。
そのため、車検が切れていたり未登録であったりする車両であっても、積載して運搬する限りは道路運送車両法違反に問われることはありません。
車検切れの大型車を移動させる際は、適正に臨時運行許可を取得して自走させるか、法令違反のリスクがない積載搬送を選択しましょう。
違反を繰り返した場合の行政処分
特殊車両の違法な通行を繰り返した場合、刑事罰としての罰金や拘禁刑とは別に、道路管理者による行政上の措置が段階的に重くなります。
行政処分は一度の違反ですぐに重罰が科せられるわけではなく、違反の頻度や悪質性に応じて以下のように段階を踏んで適用されます。
- 取締り時の初動対応:違反の程度が軽微であれば「警告書」が発出され、過積載の軽減や通行中止が必要と認められる場合は「措置命令書」が出される
- 警告を繰り返された場合:取締基地や自動計測装置(WIM)で警告を繰り返し受けると、国道事務所などから「是正指導書」が交付される
- 是正に応じない場合:是正指導を繰り返し受けても改善が見られない事業者は、企業名や是正指導の内容が公表される
- 常習的な違法運行:無許可運行や許可条件違反を常習的に続けた場合は、特殊車両通行許可の取り消しや刑事告発が行われる
これらの行政上の措置も罰則と同じく、運転者個人だけでなく事業主体である法人や事業主に対して適用されます。
社名が公表されたり許可を取り消されたりすると、企業の社会的信用や事業継続に悪影響を及ぼしかねません。
法令違反のリスクを回避するためにも、許可証に付された運行条件がドライバーへ確実に共有されているか、自社の運行管理体制を改めて確認しておいてください。
許可の要否と申請者の切り分けから、ご相談いただけます
大型車の搬送に必要な許可に関するよくある質問
大型車の搬送や各種許可に関して、運行管理者や発注担当者からよく寄せられる質問にお答えします。
質問1.特殊車両通行許可と特殊車両通行確認制度は何が違う?
特殊車両通行許可が「道路管理者へ申請して許可を受ける制度」であるのに対し、特殊車両通行確認制度は「オンラインシステムで通行可能経路の確認を求め、即時に回答書を受け取る制度」です。
確認制度は、手続きの迅速化を目的に2022年4月1日から運用が開始されました。
車両をシステムに登録して経路を確認し、手数料を支払えば回答書が交付されて即時に通行できます。
ただし、登録できる車両はETC2.0車載器を装着・セットアップしているなど、一定の基準を満たすものに限られます。
質問2.自社で取得した許可を業者の車両でそのまま使用できる?
自社で取得した特殊車両通行許可を、搬送業者の車両へそのまま流用することはできません。
道路法上の許可は「申請者」と「申請時に登録した車両」に結びついて発行されるためです。
申請書類には車両の諸元に関する説明書や内訳書が含まれており、実際に運行するけん引車や積載車が変われば、その車両情報をもとに新たに許可を取り直す必要があります。
質問3.許可の申請を業者に任せた場合に依頼した側も罰金や勧告の対象になる?
特殊車両通行許可の申請手続きを業者へ任せた場合、万が一業者が無許可運行や条件違反を犯しても、依頼した側が道路法上の罰則や行政勧告を直接受けることは原則としてありません。
道路法で処罰されるのは、実際に車両を通行させた運転者およびその事業主体(搬送業者)となるためです。
また、貨物自動車運送事業法に基づく荷主への勧告も過積載や過労運転などの違反が対象であり、特殊車両の無許可通行そのものは対象外です。
一方、依頼先の業者が貨物自動車運送事業の許可を持たない「無許可業者」であった場合は、無許可業者への委託禁止違反として依頼側も100万円以下の罰金が科せられる点には注意してください。
まとめ:大型車の搬送に必要な許可は運び方を決めてから確認しよう
大型車の搬送に必要な許可は、運び方と車両の状態で決まります。
積載搬送であれば、特殊車両通行許可などの申請は運ぶ業者が担当するため、自社で手続きを抱え込む必要はありません。
車検証の寸法や重量、希望の日程を整理したうえで搬送業者へ相談しましょう。
なお24ROADは、全国の提携ネットワークを通じて大型車の搬送手配から運行管理まで一括で対応しています。
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